くまのお気楽日記

谷をまたいで張られたホースを遠くから見ると、ホースの表面から離れられない蟻が歩く次元はホースの長さの方向に沿った左右の次元一つしかない。肝心なのは遠く離れた視点から見ると、長いホースが一次元の物体に見えるということだ。現実にはホースには太さがあり、ズームアップして見れば、ホースの表面に住んでいる蟻が二つの次元(ホースの長さに沿った左右の次元と、環状にホースを巡る「時計回り-反時計回り」の次元)に沿って歩けることがわかる。この例から、空間次元には大きく拡がっておりすぐ目に付くものと、小さく巻き上げられていてずっと認めにくいものがある、とわかる。環状の次元は新たな次元であり、どの点にも上下、左右、前後の次元それぞれが存在するように、拡がった次元のどの点にも存在する、新たな独立した次元だ。しかし「小さい」とはどのくらい「小さい」のか? 1926年クラインは、カルーザの最初の示唆と、量子力学の分野から借りた概念を組み合わせ、環状の次元の大きさはプランクスケールほどでしかない、と計算した。それ以来、小さな空間のなかに新たな次元がある可能性を「カルーザ-クライン理論」と呼ぶ。